こいずみの店内でも販売しています。
「酒蔵の娘と楽しむ日本酒入門」 ¥1,400(税別)
喜多酒造の麻優子さんが本を出されました!
日本酒の美味しい飲み方、選び方、お酒の造り方、蔵での仕事のこと、おつまみのレシピまで、日本酒にまつわるお話が盛りだくさんでした。
日本酒の造りの部分では、詳しく専門的なことまで書かれていましたが、
喜多社長や四家杜氏とのやりとりや、もろみが生きていると感じる瞬間のこと、蔵の中で感じる神聖な空気感‥
麻優子さんが蔵人として肌で感じられたことがそのままギュッとこの一冊に詰まっていて、読み進めるたびに、初めて酒蔵を見学させていただいたときに味わった、空気や温度、質感、香り、蔵人さんたちの姿、景色が、新鮮な感覚でよみがえりました。
あとがきに麻優子さんが書かれていた「酒造りは神様事」ということ。私もお酒に携わる小さな1人として、このことを大切に忘れないでいたいと思いました。
10月から始まったお酒造りも終盤にさしかかった2月下旬、地元滋賀県東近江市の酒蔵「喜多酒造」さんにお邪魔し、お酒造りの様子を見学させていただきました。
お伺いしたのは朝の8時前。ちょうどお米が蒸し上がる時間で、大きな蒸し器から蒸気がもうもうと上がっていました。
蒸し上がったお米は透き通るように白く輝いていて、とてもきれいでした。
出来上がった蒸米は、スコップですくって放冷機に移し、粗熱をとります。
冷ました蒸米は、布を使って小分けにされていきます。2人1組になって布の両端を持ち、放冷機から流れ出てくる蒸米を布で受けます。こぼさないように、布の端をゆすりながら蒸米を中央に集め、一定量になると、布をサッと持ちかえてくるりとひねり、布を袋にして箱に詰められていきました。
お酒造りでは、いろいろな工程で布が使われていました。1枚の布が、あるときは受皿になり、袋になり、仕切りになり‥とても面白いなと感じました。蔵人さんたちのなめらかで凛とした動きと、それに合わせていきいきと姿を変えていく布の姿はとても印象的でした。
小分けにして箱につめられた蒸米は、麹室と仕込みタンクの2ヶ所に運ばれていきました。
寒い蔵から麹室の中へ入ると、あったかい空気に包まれていました。麹菌を振りかけられた蒸米は、蔵人さんの手によって満遍なく丁寧に混ぜられます。
タンクに運ばれた蒸米は、掛米としてタンクの中へ。蔵人さんが布をサッと広げると、お米がきれいな弧を描いて一斉にモロミの中へ消えていきました。
一番印象に残ったのは、喜多酒造の蔵人さんたちの姿でした。ひとつひとつの動きに無駄がなく、とてもはやい。はやいけれど、落ち着いていて丁寧。力強いのに、とてもやさしい。作業中はほとんど会話がないのに、ぴたっと息が合っていて、流れるように仕事が進んでいきました。
その姿は本当にきれいで、ずっと見ていても飽きないものでした。積み重なって体に染み込んだ蔵の仕事の美しさと、お酒やお酒に関わるたくさんの生き物、お酒が生まれることへの、蔵人さんたちの深い愛情と敬意を感じました。